闇の戦士 ケルちゃん・・・・。
ケルベロス、3つ頭だったので、彼には3刃の剣を持たせてみました・・・
以下、きなこの妄想断片ストーリィ。
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月明かりが雲間より僅かに漏れる晩。
街は静かに寝息をたて、僅かに黒い影を街路に落としている。。
彼は、建物の陰間から今回の獲物を視界の中に入れると、
三叉の愛剣を構え、後ろよりそっと近づいた。
彼の動きは【無】。空気さえその存在を見過ごすかと思われたが―――
「・・・・・よい動きをしておるな。」
”獲物”が 振り返りもせず、さらりと呼びかけた。
彼は予測外のことに 軽く顔をしかめ、後ろに飛びずさり剣を持ち直す。
獲物がゆっくりと 彼のほうを振り返った。
「・・・・・・・・・。」
彼は 無表情のまま相手を見据える。
僅かな月明かりが二人をまばらに映し出す。
彼の獲物は 長身の老人。長い紫のローブは高貴な者の印。
そして長い、白い髭の先が風に緩やかにたなびいている。
「・・・・・どうして気づいた? ・・とな?」
老人が軽く笑みをみせる。
「・・・・・・・・・・。」
「お前さんの動きは大変よく出来ている。
下手をしたらあの世だったの。」
彼は 老人のたわ話を流しながら、相手の隙を伺っている。
たった、一人の老人。
今までの獲物よりも遥かに容易い相手と思っていただけに、
彼は 珍しく躊躇していた。
──表情にはそのような思いは一切出ていないが。
(──── 隙、がない。)
彼の赤黒い瞳が、老人の紫色の瞳に捕らえられると
重力が突然倍にもなったかのように体が重くなった。
「ッ・・・」
(─── 魔術か・・・)
「お前さんは、・・・暗殺者かな。」
何故みたら分かるような事を聞くのだろうか、この老人は。
「・・・名前はなんという?」
「・・・・・・・俺の名前だと?」
重力は口にはかかってなかったようだ。
あまりに馬鹿馬鹿しい質問に 彼の口からつい言葉が出る。
「──これからお前さんに殺されようとする、このおいぼれに
名前を教える慈悲くらいは欲しいものだの。」
どうみても 殺されそうな老人の状況ではないだろう。
彼は彼の様子をうかがうべく、くだらない質問に答える。
「─── ケルベロス。」
「ほほ、地獄の番人とな・・?本名はなんという。」
「─────暗殺者たる、”ケルベロス”という名前以外はない。」
老人は、少し考えるようにその長い髭を右手でなでた。
「そうか・・・・。私も名乗っておこう。知っているかとは思うが──」
「──── 賢人ノア。」
ケルベロスは 老人を睨み返した。
【end】
すみません。スッゴイ断片な妄想です。
時代錯誤もいいとこです。