もう蠍は何も語らない。

砂漠の若者の頬に冷たい
液体がつたう。

その液体が蠍の上に落ちる。
蠍の体は変化し、一つの小瓶が現れる。

    そして、どこからか蠍の声。

『それこそ 命の妙薬。
 それを お持ちなさい。そして、行きなさい。』
 若者は首を横に振る。


『貴方を失ってまで
  それを手にするわけには
       いかない。』

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